野球ならリリーフエース、サッカーならゴールキーパーといった役どころか。清水のミッションは別名“ラストマン”と呼ばれている。
「私たち現地試験調整員は最後の砦です。万が一にも不具合を見逃すことがあってはならないし、どんな問題もすべて解決しなくてはなりません」
清水の業務は、上下水道に関係する施設の現地試験調整である。具体的には施工が完了した施設の電気・制御について、お客様の運用が開始する前に、問題がないかを徹底的に確認することが使命だ。つまり最終チェック。工事の業務区分でいうと、最後になる。
「工場で出荷する前に確認を行うこともあれば、リニューアル工事の場合は現場で確認作業に当たることになります。1年目にはおよそ10ヵ所の工事を担当しました」
受電盤に配線が正しくつながっているか、つながっているなら設備が正常に作動するか。シミュレーションして確認し、その後に実機で確認する。念には念を入れた作業だ。
「どんな施設でも、試験調整では必ず何かしらのトラブルが発生します。例えば配線だけでも何百本もありますから。仕様で想定した以外の動きをすることも珍しくありません。我々現地試験調整員はそうした問題を解決するわけですが、納期を遅れることがあってはならないので工程そのものを調整することも行います」
もちろん簡単なことではない。問題があるならその原因がどこにあるのかを切り分けしなくてはならないが、ハードとソフトの両方に精通していることが必要だ。
「ソフト単体では問題がなくても、ハードを組み合わせた途端に動かなくなる、というケースもあります。様々な可能性を考えながら原因を特定していくプロセスはパズルにも似た知的興奮が味わえますし、解決したときは難しい問題を解いたときにも似た喜びがあります」
ただし清水自身は、まだまだ力不足を痛感している。その思いは1年目に強烈に受け止めた。
「4、5年目の、比較的若手の先輩と一緒に現場に入ったときのことでした。浄水場の設備更新の工事だったのですが、2つの設備の更新だったので客先担当者も2人。そのどちらの担当者も、疑問があればすぐに私の先輩に質問、相談していたのです。若手であり、院卒の私とはさほど年齢的にも違いはないのに、客先に信頼されているその姿に強い印象を受けました」
そのときの先輩のようになれたかといえば、まだ自信はない。専門知識も不十分だ。しかし着実に成長しているという手応えはあり、入社4年目となる来年は社内の技術資格試験にパスして、独り立ちしたいと考えている。
「まずは大きな現場の試験調整業務を管理できるようになりたいですね。最終的には自らプロジェクトを提案し、完成まで取り仕切れるプロジェクトマネージャーを目指したいと思います」