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フィリピン共和国 ミンダナオ島 ミサミスオリエンタル州

バリンガサグ 石炭火力発電所建設プロジェクト

発電システム:電力プラント(火力)

  • 55 MW級蒸気タービン発電機 3基
  • 総出力165MW
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Chapter 2.

東芝プラントシステムグループの “シナジー発揮” のため、グローバルに奔走

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実は、プロジェクトが開始された2012〜2014年は、日本国内において東日本大震災からの復旧に関連する火力発電のプロジェクトが数多く進行しており、日本国内のチームに、海外で稼働できる余裕がありませんでした。

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そこで、計画の当初から “現地および国外のパートナーとのコラボレーションによる開発・施工” が、求められていたのです。
もちろん、これは当社の都合だけではありません。中国や韓国のEPC事業者との競争も考慮しなければならない海外 (特にASEAN) の案件においては、日本の人件費等を抑え、国外のパートナーと積極的にコラボレーションすることが常となります。 しかし、今回のプロジェクトは、従来の案件とは根本が異なりました。
その理由は、「海外現地法人の育成」という、ミッションを担っていたことにあります。
プロジェクトマネージャーとして、数多くのプロジェクトを指揮してきた火力プロジェクトマネジメント部 プロジェクトマネジメントグループ 参事(以下プロジェクトマネージャー)は、次のように話します。

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プロジェクトマネージャー

「私はこれまで、プロジェクトマネージャーとして数多くの現場を指揮してきましたし、そのほとんどは何事もなく完工しています。その経験から、今回のプロジェクトについても、それほど心配していませんでした。しかし、始まってみると想像した以上の苦労がありました。その最たる理由は、グループ会社である『ティーピーエスシー・インド社』に、資機材の設計・調達を全面的に依頼したことにあります。」

ティーピーエスシー・インド社は、インド国内で石炭火力発電所建設に携わった実績もあります。しかし、インド国外では主に、日本の東芝プラントシステムからの指示を受けて、部分的にプロジェクトに関与する会社であったのです。

プロジェクトマネージャー

「今後、ASEANを中心とする海外で、私たちのEPC事業を拡大していくためには、各地にある海外現地法人の担うべき役割を拡大し、当社と対等の立場でシナジーを発揮し、プロジェクトを推進していくことが求められます。そのために今回、プラントの設計や蒸気タービンやボイラー、発電機など可能な限りの機器をティーピーエスシー・インド社で調達することになりました。」

もちろん、ティーピーエスシー・インド社独力でプロジェクトを遂行させたわけではありません。調整役となる本社の設計担当がインドとフィリピンを股にかけて、活躍しています。入社7年目となる火力海外技術部 海外プラント技術グループ 設計担当(以下設計担当)は、次のように説明します。

設計担当

「インドは、日本ともフィリピンとも文化が違います。非常に分業意識が強いため、設計・技術・調達の連携が弱くなりがちです。今回のプラント用に製作した機器も、当初は“日本の基準で100点満点” とは言い難い側面もありました。しかし、今後の事業展開を見据えて、会社の体制を強化することに、皆非常に前向きに取り組んでくれました。何より、設立以来20年近く積み重ねてきた実績もあります。関係者全員が一丸となって取り組んだ結果、客先に十分納得頂ける機器を供給出来ています。
私自身、まだまだ一人前には達していませんが、それでも計画当初のスケジュールに沿ってプロジェクトを進行できているのは、諸先輩方が積み重ねてくれたノウハウのおかげです。
『こうした場合には、どこを確認するべきか』『このような状況では、何を優先するべきか』、指針となるナレッジがしっかりと社内に存在するために、私も頑張れていると実感しています。」

こうした困難を含みながらも、プロジェクトは完工に向けて着々と進行しています。
その背景にあるのは、勤勉に働く現地スタッフたちの存在でした。

  • このコンテンツは、2016年に取材・製作しました。

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