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主要空港を含む多数の国内空港で採用

飛行場航空灯火監視制御システム

社会インフラ事業部:ソフトウェア設計業務

  • グループ長の想い

    社会インフラエンジニアリング部 官公施設設計グループ グループ長

    社会インフラ事業部

    社会インフラエンジニアリング部
    官公施設設計グループ
    グループ長

航空機運行の隙間を縫うシステム更新は時間との戦い

プログラマブル・ロジック・コントローラ東芝製統合コントローラVシリーズ

PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)
東芝製 統合コントローラ Vシリーズ

以前の空港灯火は、リレー回路と呼ばれる「機械的」な仕組みで制御されていましたが、1980年台後半からは、PLCという装置を使った制御に取って代わり始めました。 PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ:Programmable Logic Controller)は、機械設備を制御するための高機能なコンピュータで、専用のソフトウェアで作動します。東芝ではこのPLCを使って、灯火監視制御システムを開発。 当社はそのソフトウェア開発を長年にわたり手掛けています。現在、ソフト開発を担当する社会インフラエンジニアリング部官公施設設計グループのグループ長(以下、グループ長)は、その初期から開発に従事してきました。

「灯火監視制御システムの開発は、1987年頃に始まった事業で、私自身は入社5年目から携わってきました。PLCはリレー回路に比べて、複雑な制御やシステム規模の拡大に柔軟に対応することができます。 当社では、東芝がお客様より受注したシステムのソフト開発を担当しており、全国にある国の拠点空港のうち約7割、また各県にある地方管理空港のうち約4割を手がけ、国内トップシェアを獲得しています。 これだけの実績を重ねられたのは、多数の案件を手がけて、技術力と豊富なノウハウを蓄積することができたこと。そして、お客様からの要望に対する対応力や提案力も兼ね備えている結果だと考えています」
ひと口に灯火監視制御といっても、種類や機能はさまざま。たとえば、夜間だけではなく昼間でも、曇り、雨、雪、霧などの悪天候時には灯火を点灯させて、パイロットの視覚支援を行います。
天候、時間帯、視界などの条件によって設定すべき明るさが規定されており、その条件を管制塔の運用卓で指定することで、最適な明るさが選択されて、操作に合わせて空港全体の灯火がコントロールされます。

様々な役割を持つ空港灯火

様々な役割を持つ空港灯火

「管制塔をはじめ、監視室、各電気室には制御装置や制御盤、PLCなどが収められており、これらの設備が一体となり中央監視システムとして灯火の点滅や明るさ調整、管制官へのフィードバックや操作指示を渡したりするメインの機能をもっています。 私たちが手がけるのが、それらをコントロールするソフトウェアの設計です。お客さまから要求される仕様に合わせて設計開発を行い、その後、東芝府中工場でハードウェアを含めた装置の検証試験を実施。 出荷後においても当社の現地調整チームが総合試験を行い、正常動作が確認されれば引き渡されます」
新空港の開港がほとんどない現在、業務の中心は既存の空港の設備更新です。空港が稼働している時間帯には、システムの改修ができず、必然的に現地での作業は夜間になります。

「作業が可能なのは深夜1時から4時までの3時間ほど。そのわずかな隙間を縫って、新旧の設備やソフトを切り替えて動作確認を行わなければなりません。一晩で全て終了できないケースがほとんどであり、朝の運用再開までに再び現行のソフトに戻して正常に動作するかを確認する作業が必要です。 工場には空港にあるものと全く同じシステムが組まれていて、夜間に計画している作業のシミュレーションや問題点の抽出、原因追究や検証を行います。大変な思いをすることもありますが、絶対に運行に支障があってはならないという強い思いが、私たちを支えてくれています。

今でも忘れられないのは、国内の拠点空港で、たった一夜で古いビルから新しいターミナルビルにすべての空港機能を移行させる大掛かりなイベントです。国の機関や航空会社も一斉に機能を移転し、私たちも一緒にシステムの移行を行いました。 更新作業では管制塔や監視室から実際に滑走路の灯火を点滅させて試験を行いますが、自分たちが開発したソフトで、巨大な空港の灯火が一斉に動くのを目の当たりにすると、大きな感動がありました。その晩のことは忘れられません。 ターミナルビルに多くのマスコミが集まる中、疲労困憊して帰宅する際にも、それまで感じたことがない達成感があり、この仕事の魅力に取り憑かれました」

システム提案時にも発揮される、いままで培ってきた技術力やノウハウ

「お客様の要求スペックを満たすには、ハード、ソフト、通信をどのように構成すれば最適な処理が可能なのかを検討しなければなりません。そのすべてを考慮してシステム構成を考え、お客さまに提案する。そうした営業支援ができるのが我々の強みです。 若い頃は、与えられた仕様どおりにソフトを作るので精一杯でしたが、経験を積めばハードウェアの知識もついてきます。いかに周辺技術と融合させて、お客さまの期待を上回る設計ができるかどうかが、ベテランならではの手腕だと思っています。 また、当社には我々設計部門以外にも技術部門、施工部門、試験調整部門と空港に携わる仲間が大勢います。その仲間たちと連携を取り、より効率的に業務を進めていけるのも当社の大きな強みです」

実際の空港灯火の様子

実際の空港灯火の様子

  • このコンテンツは、2019年に取材・製作しました。

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