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タンザニア連合共和国 ダルエスサラーム州

キネレジ 天然ガス焚き複合サイクル火力発電所建設プロジェクト

発電システム:電力プラント(火力)

  • 天然ガス焚き複合サイクル火力発電所
  • 総出力240MW
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Chapter 1.

当社が受注した、アフリカ初の大型案件

天然ガス焚き複合サイクル火力発電所

タンザニアの東部、インド洋に面した港町・ダルエスサラームは、かつての首都であり、現在もタンザニア最大の都市として、経済の中枢を担っています。現在建設中のキネレジ発電所が位置するのは、 このダルエスサラームから南西約30kmの地。完成後は、タンザニア初の天然ガス焚き複合サイクル火力発電所(CCPP)として、タンザニアの発電設備容量(約1,500MW)の約2割を担うことになります。

天然ガス焚き複合サイクル火力発電所
天然ガス焚き複合サイクル火力発電所

本プロジェクトは、ガスタービン以外の機器の供給、据付け、試運転など、現地工事すべてを請け負う案件で、2016年1月、主契約者である住友商事殿と契約調印。同年3月に工事が着工し、31カ月という長い工事期間を経て、2018年9月30日に商業運転が開始する予定です。 ただ、本案件は計画が持ち上がってから受注するまでにも、長い年月を要しました。本プロジェクトを統括する火力プロジェクトマネジメント部プロジェクトマネージメントグループのグループ長(以下グループ長)は、当時をこう振り返ります。

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グループ長

「そもそもダルエスサラームの市街地に発電所を作るというお話をいただいたのは、2009年のことでした。その時点でまず、実際にここに発電所が建設できるのか、安全に工事に従事できる環境にあるのかなどを調べるために、現地へと調査チームを派遣しました。 その結果、タンザニアは英語圏であり、政権が安定していて治安が良いこと、安全衛生の面においても良好な環境にあることなどがわかりました」。

ほかにも、現地で重機の調達が可能なこと、セメント工場が近くにあることなど、われわれが工事に携わるうえで有益な情報が得られました。しかしその一方で、受注に至るまでには、解決すべき大きな問題が横たわっていました。

グループ長

「当時、タンザニアはIMFの管理下にあり、対外債務枠が制限されていました。本案件の資金は大部分が日本の銀行団による融資でしたので対外債務枠の対象となり、お客さまサイドで本案件の資金を融資枠内に収める調整が難航、 一旦は計画が中断されましたが、それでもお客さまの強い意向により、計画は再開に向け動き出すことになりました」

受注までには、ほかにもさまざまなハードルがありました。たとえば、タンザニアの発電所は、キリマンジャロを源流とする河川などの水資源を使った水力発電が主流であり、化石燃料を使った火力発電の整備は遅れていました。 CCPPはガスタービンと蒸気タービンを組み合わせた発電方式で、ガスの燃焼エネルギーでガスタービンを回し発電し、さらにその排ガスの余熱を回収して水を蒸気に変え、蒸気タービンを回して発電するシステムです。 現在、世界各地で採用されている発電方法ですが、ガスのサプライチェーンが必須となり、導入出来る国や地域が限定されてしまいます。

グループ長

「CCPPは発電効率がよく、CO2の排出を削減するなどの利点があります。加えて、タンザニアでは大型の天然ガス田が相次いで発見されており、十分な燃料を火力発電に利用できる環境が整いつつあります。 タンザニアで初のCCPP建設がスムーズに進捗できるよう、当グループのプロポーザルマネージャーが現地に頻繁に足を運び、根気よくご説明に当たりました」。

提案の際には、完成後の運用がスムーズに行えるための仕組みづくりにも留意しました。こうした地道な努力の結果、お客様から信頼を獲得することができ、いよいよプロジェクトが始動。6年の歳月を経て受注した案件には、グループ長も感慨ひとしおです。

グループ長

「現在、プロポーザルマネージャーに代わり、プロジェクトマネージャーが現地と日本を行き来して陣頭指揮に当たっています。工事の手順を組み替えたり、人員を増強するなど工夫をしながら、現時点まで工事は順調に進捗しています。 それでも、当社にとって初となるサブサハラ・アフリカでの大型案件ですので、予測がつかない事案が発生することも少なくないでしょう。 それだけに、今後一人ひとりがより気を引き締め、安全第一に取り組むことが望まれます。本案件で実績を積むことは、当社がアフリカのマーケットを拡大していく上で、大きな足がかりになることでしょう。さらには、当社の次世代のメンバーを育成する上でも、極めて意義深いことだと思っています。 そういうミッションを担っていることをつねに意識しながら、私自身、引き続き本案件に注力していきます」。

こうしたグループ長の言葉に、力強くうなずくメンバーがいます。本案件の受注に貢献した、もう1人の立役者。タンザニアでの現地事務所開設をはじめ、お客様との折衝など、現地に1人で5カ月にわたり滞在し、奮闘した営業担当です。

  • このコンテンツは、2017年に取材・製作しました。

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