原子力事業
原子力に求められる高い水準の安心・安全と品質を提供
中部電力株式会社 浜岡原子力発電所(提供:中部電力株式会社)
原子力事業は、経済性と同時に安心・安全を実現するため高度な品質が求められています。
当社では豊富な経験と高い技術力を生かし、原子力事業における各種設備の設計、施工、試験・試運転を通じて安心・安全を提供しています。
当社は、「原子力事業の先進技術」を活用して、「国内軽水炉事業」、「福島復興・再生事業」、「燃料サイクル事業」、「原子力応用設備」の4つの原子力事業を展開しています。
国内軽水炉事業

東芝グループの一員として建設プラントでは、詳細設計から施工計画、現地施工、試験・試運転まで一貫したソリューションを提供しています。
また、原子力発電所の改良・保全および安全機能強化工事では、現地での3Dレーザー計測データと当社統合エンジニアリングツールを用いた設計・工事計画等により工期短縮と品質向上を実現し、お客様から高い評価を得ています。
再稼働に向けた取り組み
福島第一原子力発電所の事故を教訓とした新規制基準に対応した安全対策へ取り組んでいます。
地震への対策
想定されうる最大の地震による地面の揺れ(基準地震動)に対して原子力発電所の安全機能が守られる設計を行い、配管や電路、機器他の耐震補強などを行っています。
配管の耐震補強施工例
電路(ケーブルトレイ)の耐震補強施工例
重大事故対策(シビアアクシデント対策)
原子炉格納容器の過圧破損防止対策として、原子炉注水システムの強化や代替循環冷却システム、フィルターベントといった各種対策工事に取り組んでいます。
また、重大事故時の事故収束に向け指揮・連絡の拠点となる「緊急時対策所等」の詳細設計から施工計画、現地施工、試験・試運転までを行っています。
3Dプリンタモデルを活用した工事計画検討
フィルターベント据付工事
自然災害や火災への対策
内部溢水への対策や重大火災を起こさない防火対策(消火、耐火)に取り組んでいます。
ケーブルトレイ貫通部耐火対策
改良・保全/プラント寿命延長
長期間にわたる安定運転と設備利用率の向上、プラント寿命延長に向けた改良・保全や監視・診断・評価に取り組んでいます。
タービン本体の点検修理
回転体診断(撹拌機の運転データ採取状況)
軽水炉建設
豊富な経験に基づくエンジニアリングと高度な施工計画・施工法により、最適なQCD(品質・コスト・納期)+S(安全)を実現しています。
詳細設計
経験豊富なエンジニアのノウハウを活用し、法令や規格・基準への適用、お客様のニーズやメンテナンス性を考慮した最適な設計を実現しています。
施工計画/現地施工/試験・試運転
IT技術を活用し、高度な施工計画の立案と施工法により、工期短縮と品質向上を実現していてます。
また、プラントの安全性確保のため、各種システムの試験・試運転を行っています。
モジュール工法採用による工期短縮
タブレット端末活用による施工管理
プラントの安全性確保のための試験・試運転
バーチャルシステムによる施工シミュレーション
福島復興・再生事業

福島復興・再生に向けて、汚染水対策や使用済燃料プールからの燃料取り出し作業に取り組んでいます。また、運転を終了した原子力発電所の解体作業に向けて、当社が培ってきた施工技術を駆使し、安全性の確保と経済性の両方を備えた計画立案と実施に取り組んでいます。
汚染水対策
汚染水に含まれる放射性物質によるリスクを低減させるため、大部分の放射性核種を取り除く多核種除去設備の詳細設計から現地施工、運転支援を行っています。また、政府の基本方針に沿って今後進められる多核種除去設備等処理水の海洋放出も見据え、日々発生する汚染水の対策に取り組んでいます。
タンク増設工事
汚染水処理設備(多核種除去設備)
使用済み燃料プールからの燃料取り出し
使用済み燃料プール内の燃料を取り出すために、高線量環境下での遠隔操作による大型瓦礫の撤去作業から燃料取扱機の搬入・据付、燃料取り出し作業の支援を行っています。
3号機については2019年4月に取り出し作業を開始し、2021年2月に全566体を完了しました。
燃料取扱機の設置工事
遠隔操作室での燃料取り出し支援状況
(出典:東京電力ホールディングス)
遠隔操作室での燃料取り出し支援状況
(出典:東京電力ホールディングス)
放射性廃棄物管理
廃炉作業に伴い発生する廃棄物を安全に保管・管理するための固体廃棄物貯蔵庫の建設や汚染水を処理する過程で発生する水処理二次廃棄物の保管リスクの更なる低減に向けた安定化処理に取り組んでいます。
固体廃棄物貯蔵庫第9棟建設工事
燃料サイクル事業
資源の乏しい日本では、原子力発電所での使用済み燃料を再処理してウラン・プルトニウムを回収し、再び燃料(MOX燃料)として使用する原子燃料サイクルを推進しています。当社も燃料サイクルの要となる日本初の商業用再処理工場の詳細設計から現地施工、試運転/運転支援までを行っています。また、新規制基準に対応した安全対策にも取り組んでいます。
原子力応用設備
当社は核融合施設、重粒子線治療装置を始めとした原子力応用分野で、高度な据付技術をはじめとした高い技術力を提供しています。また、付帯設備のEPC事業も展開しています。
国立研究開発法人 量子科学技術研究開発機構
那珂研究所 JT-60SA
国立大学法人 山形大学医学部 東日本重粒子センター
重粒子線治療装置 回転ガントリー
原子力事業の先進技術
当社は事業環境の変化やお客さまのニーズに応じた付加価値を提供するため、事業領域の拡大、技術力の強化、業務プロセスの変革などに取り組んでいます。
原子力事業部の技術
当社の技術は、プラント設備の設計、調達、工事、試運転まで一気通貫したEPC事業展開の中で、EDB∗及び3次元CADモデルをコアとしたDX∗∗化を推進しており、各ステップで様々な成果を上げています。
- Engineering DataBase エンジニアリングデータベース
- Digital Transformation デジタルトランスフォーメーション
ポイント
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配管と配管支持装置を自動で最適配置するための3D 設計自動化技術を確立。技術情報やエンジニアの知見をプログラムに集約させ、AIを活用することによって、3D空間の中で最適な設計を自動的に行うためのシステムを開発し、大幅な作業効率の向上及び省力化を実現。
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ケーブル布設施工における布設起点~終点の実績経路確認、計画経路との照合及び経路の妥当性判断までの一連の検証作業を自動化する技術を確立。本技術の導入により、安全、品質、作業面における改善が図れるとともに、集約した情報を保全データとして有効活用することで、ケーブルのライフサイクルマネジメントの推進が可能。
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原子力発電所廃炉作業に向けた技術協力に関する基本合意。当社が国内で培ってきた原子力発電プラントの建設・メンテナンス工事における施工技術と、ドイツのSiempelkamp NIS Ingenieurgesellschaft mbH が保有する原子炉解体技術を融合させることにより、安全性の確保と併せ、解体作業の省力化・効率化及び作業期間の短縮が可能。