産業システム事業部
現地試験・試運転・調整業務
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産業システム事業部
産業システム事業部
系統・変電フィールドサービス部
開閉装置第二グループ
(海外エンジニアリング担当)
グローバルに広がる電力設備を技術で支えるラストマン
インフラ設備やプラントに命を吹き込むラストマンとは
山の上や海の近く、あるいは街中や地下など、国内のみならず世界中の至るところで活躍しているのが、東芝製の変電設備や開閉装置です。発電所から送られてくる数十万Vの超高電圧は、工場やビルなどで使うための電圧まで下げるため変電設備が必要です。また、送電中にトラブルや故障などが発生すると、故障個所だけでなく、変電所設備全体に障害がおきたり、他の地域にも停電が広がるなど大きな影響が発生してしまいます。そこで、故障が起きた回線を瞬間的に遮断し、送電経路を切り替えるための設備が開閉装置です。停電は社会や経済に多大な影響を与えるため、大きな社会的使命をもつ重要設備だと言えます。
「入社したときは『開閉装置』がどういうものなのかも全く知りませんでした。試験・試運転調整業務の担当者となるため、最初は、工場内で装置の構造、機能、操作、試験などを教育担当の先輩に手取り足取り教えてもらうところからスタートしました。開閉装置は大きいものでは体育館ほどの建屋内に設置されるなど大掛かりな設備ですが、開閉装置そのものの機構は非常に精密で、さまざまな技術やノウハウが詰め込まれています。電気的に制御されていますが、駆動部分は電動モーターや油圧機構、バネ機構、空気圧機構などの機種があり、瞬時に電気を遮断できるように超高速で動きます。私はメカが好きだったので、複雑な機構について一から知ることができ、自分で思うようにコントロールできるようになったことがとても楽しかったです」。 工場実習で装置の知識を身に着けた後は、先輩に同行して全国各地の変電所に行き、試験や調整を実地で覚えていきました。徐々に任される業務も増え、入社5年目ほどで国内外の変電所の試験・試運転調整業務を一人で担当できるようになりました。
試験・試運転調整業務では、お客様が要求する仕様や設計した意図通りに機能するかどうか、さまざまな試験項目を一つずつ網羅的に検証します。設備がすべての試験に合格して正常運転が可能になった段階で、お客様に引き渡しをして運用が開始されます。達成感があるのは、高電圧を受電し、正常に送電ができるのを見届けたときです。
「海外案件も数多く手がけ、これまでUAE、オマーン、インド、イタリアなどにも出張しました。UAEでは周りが見渡す限りの砂漠に建つ変電所や、ペルシャ湾沿いに建設されたUAE初の原子力発電所の開閉設備を担当しました。また巨大な砂嵐に初めて遭遇したり、日本にはない暑さのせいで装置が手で触れなくなるほど熱くなるため、夜間作業しかできなかったりと、予想外の経験もありました。しかし、国籍も宗教も違う人たちが同じ現場に集まり、コミュニケーションをとりながら一つのものを作り上げる醍醐味や面白さもあります。UAEでは、お客様の立会のもとで試験を行い、自分の技術力で試運転が進むため、大きな責任を伴います。お客様も含めチーム内でコミュニケーションを図ることで、高品質な設備を完成させることができたと思います」。
試験・試運転調整業務の中でも細心の注意を要するのが耐電圧試験です。開閉装置が組み上がって一通りの試験が終わった最終段階で、開閉装置の絶縁状態が万全かどうかを確認するために、耐電圧試験を行うことが国際標準規格で定められています。装置が通常運転において安全に機能する保証値である定格電圧が超超高電圧の400kVなのに対して、耐電圧試験ではそれを上回る515kVを印加して、絶縁破壊を起こさないかどうかを試験します。事前にしっかりとした検討が必要で、一歩間違えれば安全、品質の重大事故を起こしかねません。「試験では一気に515kVの超超高電圧を印加するのではなく、ゼロから段階的に電圧を上げて安全を確認していきます。それに先立って、電圧の段階ごとに周波数や電流の値がどうなるかを計算し、予測しておきます。実際の試験で段階ごとに予測通りの数値が得られた時には、とても達成感がありました。
最終的に515kVの超超高電圧を印加する時は、国際標準規格に準拠し、その状態を1分間継続する必要があります。大丈夫だとはわかっていてもやはり緊張を伴い、1分間がとても長く感じられました。この試験にはお客様も立ち会いましたが、成功した時は私たち以上に喜んでくれました。東芝の製品の素晴らしさを体感していただける瞬間であり、とても誇らしい気持ちになりました」。
新設に限らず、古い開閉装置の改修やリプレースの案件もあります。かなり昔に設置されたような機器も多く、今も現役で稼働しているのを見ると愛着が湧きます。
「試験・試運転調整業務の面白さは、設備を深いところまですべて熟知したうえで、思い通りに設備を動かし、試験・調整ができるという点。ラストマンは最後の砦。皆で作り上げてきた製品が試験・試運転調整業務を経て、最後に自分がお客様に引き渡しをし、送受電を見届けることになります。それによって、世界中で人々の生活を支えることができるのが、大きなやりがいです」。
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このコンテンツは、2023年に取材・製作しました。
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