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産業分野のプロフェッショナル集団

プラントを「完成」させるラストマンたち

産業システム事業部
現地試験・試運転・調整業務

    EMSの新しい技術領域にチャレンジする

  • 産業システム事業部

    産業システム事業部

    産業制御技術部
    制御デジタルソリューショングループ
    監視制御(水素エネルギーマネージメント)担当

「私の所属部門では、プラントの電気制御に関する設計から試験・試運転調整まで幅広く行うことができるのが強みです。そのなかで私が現在担当している業務はエネルギーマネジメントシステム(以下EMS)です。お客様の設備で電気がどのくらい使用されているかを“見える化”し、ピークカット・ピークシフトと呼ばれる制御を行い省エネ、カーボンニュートラルに貢献する業務になります。
一例ですが私が携わった水素製造プラント向けに応用した業務を紹介します。」

エネルギー資源の枯渇や環境への配慮を後押しに、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーを利用して水素を作り、エネルギーを安定的に貯蔵・供給可能にする取り組みが進んでいます。そうした施設の一つが福島県浪江町に完成した、世界有数規模の水素製造施設「福島水素エネルギー研究フィールド」(以下:FH2R)となります。これは太陽光発電を利用して水素を作る施設で、製造した水素は、東京オリンピック・パラリンピックの聖火や選手村を走る水素バスなどにも使用されました。この施設は、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)の実証事業で建設されました。当社は、東芝エネルギーシステムズ鰍謔闍ニ務を受注し、私は、EMSの設計から試験・試運転調整までの業務に携わりました。

FH2Rには電気をつくる太陽光発電と水素製造装置があります。FH2R向けEMSの開発では、水素を製造しながら必要に応じて太陽光の発電電力や水素製造量のバランスを調整し、定められた電気の使用量に制御を行うデマンドレスポンス(以下DR)の機能と太陽光の推定発電電力と水素出荷計画から最適な水素製造計画を作る機能が求められました。
新規開発技術も多く非常に苦労しましたが、これまで手がけてきた経験をベースに、チーム一丸となって取り組んだことでで業務は無事完了させることができました。

作業員写真

開発したEMSの出荷前には、仕様通りの機能であることの確認を社内で試験を行います。そして、現地では、実際にプラントを動かして試運転調整を行います。現地での試運転調整では、想定外の現象も発生しますが適切かつ迅速に対応することが求められ、また、太陽光発電が関係する試運転では、その日の天気に合わせた試運転調整に計画変更しなければならないなどの苦労もありました。それだけに、すべての試験が完了して、本格稼働がスタートした時の感動はとても大きかったですね。このFH2Rのプロジェクトでは、自分が経験を積んできた技術を応用して、難しい最先端分野にチャレンジできたのがやりがいでした。また、このプロジェクトは多数の企業との共同事業になるため、お互いに連携して、何度も打ち合わせをしながら仕様などを決めていくという初めての経験もあり、そこに難しさもありましたが、折衝を通じて調整力などが身につき、技術力以外のスキルアップにもつながりました。

仕事を通じて大切にしているのは、完成度の高いシステムを作ること。工場から出荷する前に可能な限り想定される状態でデバッグを行えば現地で突発的な事象が起きても、迅速な対応が可能になる。そうした点を心がけています。
現在、FH2Rの継続業務の他に2つの水素関連プロジェクトを担当しています。
「再生可能エネルギーが注目を集めるなか、太陽光発電や水素関連の業務に関わることができる、また、常に新しい技術にチャレンジし続けられることに大きな魅力を感じています」

NEDO水素写真

画像提供:新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)

  • このコンテンツは、2023年に取材・製作しました。

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