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新たな工事への果敢な挑戦で若手技術者の育成にもつなげる

横浜美術館改修工事(非常用自家発電設備更新工事)

公共施設向け設備工事
社会インフラ事業部

    周囲のサポートを受け、初めてづくしの現場に挑む

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    社会インフラ建設部
    現場代理人

2022年8月、横浜美術館の敷地の一角に、東芝プラントシステムの現場事務所が開設されました。今回の非常用自家発電設備工事では、入社7年目の若手メンバーが元請の現場代理人という大役を担っています。
リニューアル工事は、まず既設の古い発電設備を撤去するところからスタートします。今回は設置している部屋の入口や館内の通路が狭くてそのままでは搬出ができないため、現場で機器を解体し、分割したうえで搬出する必要がありました。そのため、解体方法や移動手段、搬出ルートなどについて計画を立案し、状況に合わせて調整と検討を進めました。
「搬出に限らず、現場で工事を進めるうえでとくに苦労する部分は、他社とのさまざまな調整です。今回の現場には多くの工事会社・関係者が関わっており、限られた敷地内で資材などを仮置きするスペースなども決して広くはありません。どの会社がどのスペースを使うのかも毎日、変わっていきます。そのなかで、他社の施工計画も参照しつつ、既設発電機の解体・搬出のスケジュールを立てていくのに苦労しました。うまく搬出できたときはホッとしました」。

撮影:笠木靖之氏(横浜美術館提供)

撮影:笠木靖之氏(横浜美術館提供)

既設設備を撤去した後に行われたのが、新しい機器の搬入です。発電機とエンジンをあわせて全長3.8m、重量8.8tというサイズ。非常用自家発電設備としては大きなものではありませんが、既設の建物のなかにそのまま運び入れることが難しいため、今回は発電機とエンジンを分割して搬入することにしました。
撤去と同様に、搬入も他社との調整が大きなハードルとなります。搬送してきた車両から重量物専用の台車に移すためのスペースを確保する必要があり、さらには設置場所まで移動させるルート上で、作業などが行われていたり資材や機器類が置かれていることがないように、予め他社との調整を行わなければなりません。
まずは、機器発電機が現場のゲートに到着した時点から、どのように運搬して設置するか、搬出計画案を本社の技術者も交えてレビューを繰り返しながら検討。その計画案をもとに、今度は実際に搬入作業を行う協力会社が叩き台となる実施手順を作成し、また社内で内容をブラッシュアップするという作業を行いました。搬入作業に使用する什器や機器類も、会社で定められた安全規定に沿っている必要があり、それらをすべて精査しながら搬入の計画を進めました。

「何よりも注意を払わなければいけないのは安全性です。搬入ルートが他の工事を行う人たちと接触しないかといった部分には、とくに注意を払う必要があります。他業者との間で認識違いが生じてはならないので、事前にしっかりと計画して他社との認識合わせを行うことが重要です。そこで毎週水曜日に行われる現場の定例会議のほかにも、何度も他社の担当者と打ち合わせをしながら、計画を練り上げていきました。ところが、予定していた搬入ルートを他社が使用することが判明。そこで相手側の代表とその場で解決策を検討し、何とかルートを確保しました。当日まで気を抜けません」。
そして、いよいよ搬入当日。現場代理人として指示を出し、事前の計画に従って協力会社が発電機を搬入するのを注視しました。途中で他社の作業者と遭遇して巻き込んだり、発電機が何かに当たって破損したりしないように、周囲に万全の注意を払いながら、搬送作業は慎重を期して行われました。さらに搬入した発電室内では、狭いスペースに作業員が集まって作業を行うため、しっかりと声をかけて安全を確保しながら進めていきます。
「内心うまくいくかどうかドキドキしました。それだけに、搬入が無事に終わって分割した機器が組み上がった時の達成感は大きかったですね」。

イメージ写真

現在は据え付けが終わった発電機に、配管やケーブルを接続する作業などが順調に進められています。計画通りに工事が少しずつ完成に向かっていくのを見るのが、この仕事の醍醐味だと言います。2023年2月には試験が実施されますが、周囲にいる先輩たちのサポートを受けて、しっかりと学びながら行っていく考えです。

入社してからこれまで、東芝グループが受注したデータセンター、病院、大学、テーマパークなどでの受変電設備工事を主に担当してきましたが、発電設備は今回が2件目。また元請けとして工事を担当するのは初めての経験です。
「元請ではこれまでとスキームが異なるため、しっかりしなくてはという思いが強かったです。さらには官公庁向けの案件も初めて、一緒に仕事をする協力会社も初めての会社と、初めてづくしで、現場に入る前までは不安もありました。しかし、先輩たちが脇をしっかりと固めてサポートしてくれているので、問題なく業務を進めることができています」。現場では工程管理を行う一方で、安全品質管理、工事設計や計画、施工資料づくりなども行っています。現場代理人として心がけていることは、わからないことはとにかく聞くということ。
「悩んで止まるよりも聞けと先輩に言われて、それが癖になっています。何でも聞いて手を動かして覚えていくことを大事にしています。そして、何よりも大切なのは安全の確保。事故がないように目配りをして、わからないことも後回しにせず解消していきます。お客様からは、作業が安全に進められ品質が保たれるように期待されているので、現場代理人の使命を果たして期待に応えていきたいです。また、今回は工事設計から現場監理まで任されているので、竣工までには幅広いスキルが身につけられるはず。周囲からも、吸収できるものは何でも吸収していきたいと考えています」。

イメージ写真

  • このコンテンツは、2022年に取材・製作しました。

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