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新たな工事への果敢な挑戦で若手技術者の育成にもつなげる

横浜美術館改修工事(非常用自家発電設備更新工事)

公共施設向け設備工事
社会インフラ事業部

    豊富な経験を活かし、リスクを予測して備える

  • 社会インフラ事業部

    社会インフラ事業部

    社会インフラ建設部
    監理技術者

今回の工事には、現場代理人とともに、監理技術者も一緒に現場管理を行い、若手である現場代理人をサポートする育成指導役としての役割も担っています。これまで数々の現場を任されてきたベテラン技術者であり、とくに発電設備の据付技術に関するエキスパートとしての力量を見込まれて、工事に参加しています。

撮影:田中雄一郎氏(横浜美術館提供)

撮影:田中雄一郎氏(横浜美術館提供)

「発電設備の据付工事は現場によって建物の規模や形状が異なり、また据え付ける機器も千差万別です。重量物である一方で精密な装置でもあるために、取り扱いにも慎重さが必要で、いかに安全に据え付けられるかに関して毎回知恵を絞りながら施工を行っています。今回の現場は既設の建物だけに通路が非常に狭く、発電機室の入口が狭いのが特徴です。古い機器は分解すれば搬出できますが、新しい設備の搬入は、ハードルが高い作業になると感じていました」。長くて狭い通路や発電機室入口を通過させるためには、搬送時に台車の上で発電機やエンジンのベースを斜めに傾けるといった作業も必要になりました。通常とは異なる搬送方法であり、作業者の安全確保や機器を傷つけないことを念頭に、作業が実際に可能かどうかを何度も検討してきました。
しかし、現場は生き物だと言われるように、時々刻々と変化して予期しなかったことが発生するケースもあります。そうしたリスクに備えておくことも、技術者にとっては重要な業務の一つです。とくに今回は搬入するルートに関して、事前に複数のパターンを検討してきました。
「この現場がスタートしてから周辺の状況を見ている間に、突発的な変更が生じるおそれがあるかもしれないと感じる瞬間が、何度かありました。搬入ルート周辺の作業が突然変更になって、通れない箇所が出る可能性もあるのではないか。そこで万が一に備えてメンバー同士で検討を行い、先読みして複数の代替ルートを考えておいたのです。準備が功を奏して、前日に急な変更があってもフレキシブルに対応できました。現場の動きに対して、臨機応変に対応して的確な対応をするのが、監理技術者の役割でもあります。準備万端整ったうえで当日の作業に臨み、無事に搬入を終えることができたことを、メンバー全員で喜び合いました」。

イメージ写真

こうした全工程を通じた大きなイベントを無事に乗り切るためには、日々の地道な取り組みが重要になります。この現場では、現場代理人と監理技術者の2名体制で、お互いに手分けをして業務を行っています。監理技術者として現場の安全や品質の管理を通じて、事故を起こさず品質不適合も発生しないようにするとともに、現場代理人が作成する施工計画、要領書、手順書、図面などをチェックしてフィードバックすることで、自分自身の経験を伝えていくことも大きな役割となっています。「毎日一緒に業務を進めるなかで、自分が持っている知識はその都度伝えるようにしています。現場代理人も貪欲に知識を吸収し、とくにコミュニケーション面では非常に成長してきたのを感じています。この現場に配属されてから安心して任せられる部分が増えてきて、彼が成長しているのを感じます」。

1990年の入社以来、新設の火力発電所のタービン発電機据付工事を皮切りに、主に機械関係の据付工事の監理を担当し、東日本大震災に関連して原子力発電所停止に伴う緊急電源工事にも携わるなど、さまざまな発電機の据付を行ってきた豊富な経験の持ち主です。「電気を作る発電所から、今回のように電気を使うところまで一連の流れを見ることができました。据付工事の面白さは、さまざまなアイデアを出したり強度計算をするなどして計画した工事が、思い通りに行われることです。重量物をクレーンで吊り下げて移動するなど危険が伴う作業もあるため、うまく行った時にはホッと胸をなでおろします。その感覚が味わえるのが、この仕事に携わってきて良かった点ですね」。そして、これまでの経験や知識の蓄積を自分だけで抱えているのではなく、若手メンバーに伝え、成長につなげていくことも、自分の大きな役割だと言います。
「今回の経験をベースに次の仕事につなげていき、さらに、この先に入社してくる未来のメンバーにも技術を伝承していってほしいと思います。もちろん時代や会社が変化するなかで、自分自身が持つ技術を活かせるフィールドは変わってきます。当社は事業領域が広いために、ある現場で得られたスキルや経験を、他の分野で活かせるチャンスが多いのが特長だと感じています。その点では常に自分自身をアップデートしながら活躍できるので、技術者として幸せを感じられる環境ではないでしょうか。今回、国内外から多くの人たちが訪れるみなとみらいのような場所で、多くの方々に愛される美術館の仕事に携わることができたのは、自分にとって大きな喜びです。今後もランドマーク的な施設や公共性の高い施設の工事を通じて、社会の役に立てる仕事を続けていきたいと思っています」。

  • このコンテンツは、2022年に取材・製作しました。

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