産業システム事業部
設計・施工管理業務
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産業システム事業部
産業システム事業部
技術統括責任者
先人たち、先輩たちから若手に手渡す技術者としてのDNA
2023年10月に東芝プラントシステム鰍ヘ100周年を迎えました。関東大震災で被害を受けた工場や発電所、変電所などを復旧するため、且ナ浦製作所(現鞄月ナ)の技術者が1923年に「三興電気事務所」と「野口祐靖電気工業所」をそれぞれ開設し、さまざまな経緯と経験を経て、今の「東芝プラントシステム」があります。
先人の諸先輩方への感謝と共に「受け継いできた確かな技術のバトンを、頼もしい後輩たちにつなげたい」と語るのは産業システム事業部の技術統括責任者。
「一つのことを愚直にやり続け鍛錬することで身に着く経験や技術があります。人々の生活や社会の発展のため役立てられてきた技術や知見を、僕らは先輩方から受け継いできました」。
プラント建設の基本工程は、E(Engineering設計)、P(Procurement調達)、C(Construction施工)、C(Commissioning試運転)の4つ。かつてはそれぞれの工程を縦割りのような形で進めていましたが、2004年に、施工を担う「東芝プラント建設」と設計、試運転を担う「東芝エンジニアリング」が合併して「東芝プラントシステム」になったことを契機に、『EPCCを一括したプロジェクトとして進めよう』ということになり、その第一号プロジェクトを担当することになりました。
「当社も今では何十億という大きなプロジェクトにも対応できる組織になっていますが、20年前はまだその十分の一くらいの実力。数名のメンバーで、半導体などに使うシリコンを作る工場建設をひとつのEPCCプロジェクトとして進めることになりました」。
既設の建物を改造してクリーンルームを作り、生産設備を設置し、それを動かす動力の供給、ソフトウェアも作って生産ラインを制御する。そんなシリコン製造プラントの一連の機能を、設計から調達・施工・試運転まで、さらには建築・機械・電気のすべての分野で対応する。高い期待と注目度の一方で「自分でも『本当にできるのだろうか』と不安と期待が入り混じり、プレッシャーに押し潰されそうになりながらも、『とにかく現場を終わらせなくては!お客様の依頼に応えよう!』という使命感で無我夢中でした。連日汗まみれで多忙を極めた現場でしたが、無事にやり遂げることができました」。そのプロジェクトをきっかけとして合併したばかりの会社は、お互いへの信頼を深め、垣根を越えてEPCCに対応できる強い組織へと変わっていきました。
この頃に恩人とも言える上司と出会ったことも大きな影響を与えました。
「その人が関わると、工事範囲がどんどん大きくなっていくのです」。
例えば最初は空調設備の仕事だけだったはずが、建物の改修や生産プロセスの見直し、省エネなど、さまざまな視点から、「こうした方がお客様にメリットがある」、「この機能を追加したほうが使い勝手が良くなる」などお客様に提案することで、お客様の満足度もあがり、会社の売り上げもあがります。「担当者は大変なめにあいますが」と苦笑するなかにも上司への敬愛の念が感じられます。
新しい取り組みのなかでは、失敗もたくさんありました。
「設計の仕事をしていたときは、間違いがあっても、机上で消しゴムを使って消せましたが、現場で施工してしまったものは人の労力・時間・費用を使ってやりなおさなければなりません。会社の利益ももちろん重要ですが、失敗してしまったときは、まず、お客様に迷惑をかけないことが第一優先だと思っています。本来は利益となるはずだった分のお金を使ってでも、最後まできちんとしたものを造り上げ、お客様に引き渡す。これが当社の信条だと先輩方に教えられてきました」。100年間にわたり社会や産業を支え、また数多くのエンジニアたちの技術を受け継ぐ会社としてのプライドでもあります。
たとえお客様に迷惑をかけずにすんだとしても、失敗は会社に報告しなければなりません。「眠れないことや胃が痛くなることもありました。何を聞かれるか、怒られるのではないかと緊張の連続でしたが、幸せなことに、当社は聞く耳を持ち、失敗を生かすための次のチャンスをくれる会社でした。『人を大切にする』のは本当だと実感しました」。
もちろん、失敗を良しとするのではなく、原因はなにか、影響はどれくらいなのかなど、厳しいところは厳しく、詳細な確認と洗い出しを行うことで、次は絶対に失敗しないように、また他の人にも失敗させないように共有する。失敗を糧に仕事の精度をあげ、育ってきた人たちが敗者復活戦を経て、大きく育っています。「大きな声ではいえませんが、管理職の人たちは、みんな敗者復活した人、大火傷した人ばかりですよ(笑)」。
自分も大変な思いをした経験があるからこそ、部下の様子に敏感に気づけ「大丈夫か」と声をかけ、事細かに確認し、口をすっぱくして注意します。失敗した人ほど次の大きな壁を乗り越えられる力があるのかもしれません。
マレーシア、タイ、インドネシアなど海外での活躍や、九州支社で4年間、支社長としての経験を経て、今は統括として産業システム事業部の技術者を見守る立場です。
「本社に戻って感じるのは、新しい分野への研究開発の取り組みが増えていること、また20代30代の若手たちに活気がありリーダーシップをとって仕事をしている姿です。会議なども彼らが取り仕切り、積極的に発言しています。頼もしい限りです」。これからの会社を支える次世代のエンジニアたちが確実に育っています。
「産業システム事業部はベテランと若手の間の壁、組織の壁が更に低くなったと再確認しました。次の100年に向け、先輩方から受け継いできたものを次の世代に手渡し、さらに発展させたいと思っています」。
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このコンテンツは、2024年に取材・製作しました。
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