産業システム事業部
設計・施工管理業務
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ビル施設担当
鉄塔からオフィス内コンセントまで時代の要求に技術で応える
入社10年目の若きリーダーは、コンセントなど身の回りにある電気設備から、巨大な特別高圧受変電設備(以下、特高)まで、幅広い分野で経験を積んできました。
入社した当初に担当したのは特高変電所や受変電設備など高圧変電関連の業務。なかでも印象的なのは「医療機器開発・製造会社の工場で送電線を引き込むための鉄塔を建てたこと」と話します。
「電力会社の送電用鉄塔と、設置する工場内の鉄塔の距離が近すぎると送電線が弛んでしまうので、事前に何度も協議を行い、鉄塔の距離を精査する必要があります。位置が決まったら基礎工事。緑地帯の場所に建てることになったため、樹々を伐採し整地をするところから始め、土木工事をして鉄塔を組み立て、間をつなぎ電線を受けるための接続材を取り付けます」。送電、変電はもちろん、建築、土木も知る会社だからこそ、一気通貫で対応しました。
既設の変電設備を撤去し、新しい6万6000ボルトのキュービクル形ガス絶縁開閉装置(C-GIS)を新設するとともに、22メートルの高さの鉄塔3基を順番に建て、送電経路も変更するという複雑な内容で、通常であれば半年以上かかる工事内容でしたが、事前の調整や手順の変更などで効率化を図り、4カ月で完工することができました。
「最初に配属された部門でも特高変電所に携わった経験があったので、そのときの先輩方に質問してアドバイスをもらいながら、無事に総取り換えすることができました」。
大変な状況だったにもかかわらず、「いろいろな経験ができ、楽しみながらやりました。受電したときは嬉しかったです」と話します。「新しい変圧器が受電し、電気が通ると『ボーン』と非常に大きな音が鳴るのですが、それが「動いた!」を実感できる瞬間です」。それまでの苦労が報われ、無事に稼働したという合図でもあります。
鉄塔だけでなく、医療機器開発・製造会社なのでエックス線やMRI等の強力な磁場が発生するシールドルームに関わる電気工事も担当しました。
「エックス線は部屋の外に漏洩してはいけないので、周囲を鉛(なまり)で囲うなど特殊な仕様だったり、磁気を使ったMRIを設置する部屋ではMRI装置が作動すると大きな磁場が発生するので、鉄など磁性のある金属は使用できないため、ステンレスが使用されました」。通常の工場とは勝手の違う仕様や状況も、「知らないこと、特殊なことに挑戦できるのもやりがいの1つ」と話します。
「新しいことに挑戦するのは苦労も多いですが面白い。現場は電気だけでなく、機械・建築の専門家が集まり、それぞれが関わり合いながら1つの建物やモノを作り上げるので非常に面白いです。最初は完成までたどり着くのに精一杯でしたが、経験を積んでくるとお客様との打ち合わせで自分の意見を発言でき、それが承諾されて形になっていくと、一番やりがいを感じます」。
変電設備だけでなく、最近では、鞄月ナの小向事業所(川崎市)のビル建設工事に携わりました。新築13階建ての研究開発施設も兼ねた高層ビルで、建築工事はゼネコン、当社は施設内の電気設備工事を担当。ケーブルを通すための穴や配管は基礎工事の段階から設置していく必要があるため、「鉄骨の梁の入り方がフロアごとに異なるので、13階分の図面を確認しながら配線しやすいルートを検討して関係各所それぞれと何度も打ち合わせを行い、決定するまでが一苦労でした」と話します。
工場などと違い、オフィスビルは、従業員が働きやすい環境にすることに重点が置かれるため、いくつものモックアップ(見本の模型)を作り、フロア毎に関係者が確認しながら仕様を決めていきます。壁に使う素材や色もさまざまあり、壁の色に合わせて取り付ける機器の種類や部材も変わるので、「こんなに種類が多い現場は初めてだ」と協力会社の人からもため息が漏れるほどでしたが、緻密で複雑な手配と指示をていねいに行い、内装も設備も傷つけたり汚したりしないよう、細心の注意をして工事を進めました。
また、この建物はZEB(ゼロ・エネルギー・ビルディング/消費するエネルギーをゼロにすることを目指した建物)仕様で、センサーやカメラで人の動きを感知して、照明や空調機を作動させるなど最先端技術を駆使しています。変電設備はBCP(事業継続プラン/台風・地震などの自然災害、感染症の流行、テロ攻撃など多種多様なリスク)対策で、緊急時の予備電源も兼ねるなど「東芝グループにとってはビル建設・運用のための実証実験の場であり、自分にとっても、今後に活かせるノウハウをたくさん得ることができた勉強の場になりました」。
さまざまな分野のスペシャリストがいるプロ集団のなかで、若いときからさまざまな経験を積み、幅広い知識を増やしてきました。「これからは今までの経験を活かしながら、さらに専門的な知識も深めていきたいと思っています」。プロジェクトのたびに増えていく彼の引き出しは、それを使いこなしながら、さらなる高みを目指しています。
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このコンテンツは、2024年に取材・製作しました。
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